吸盤の原理
最近盛んに見られる入れ歯 安定剤のCMの影響でしょう か、入れ歯は落ちる物だと「誤 解」されている患者さんに時々 出会います。
入れ歯安定剤については、3年前のこの 欄で詳しくお話ししましたが、普通は使わなくてよ い物です。的確に作成された義歯は落ちません。
特 に上の総入れ歯などは、何もつけなくてもご自分で 外すのに苦労されるぐらいきっちり吸い付く様に安 定する事は多々あります。
今「吸い付く」と書きまし たが、入れ歯が歯茎にくっつくのは吸盤の原理なの です。「吸盤」そうあのお風呂や台所で利用する柔ら かいドーム状の、平らな硬い面にくっつけるアレで す。
ただ、吸盤と入れ歯は丁度逆、入れ歯の方が硬い なめらかな面を持ち、先月お話ししました少し弾力 のある歯茎に対して噛む力によって押しつけられる と、内面の空気が抜け陰圧となり大気圧で入れ歯は 歯茎に吸着すると言う理屈です。
では、外れやすい 総入れ歯はどういうことなのでしょう?それは吸盤 をはがす事を考えれば分かります。吸い付いている 内面に空気を入れてやればポロッと外れます。つま り入れ歯の内面に何らかの原因で空気が入り込み 外れるのですが、その原因が複雑で難しいのです。