整体院 楽寿 オーナー、整体師 西野英彰さん no.140
筋肉や骨の状態を手で感知。むくみ改善や小顔効果も!
「首をポキポキとか、痛いことはしないでくださいね」とお願いすると、「そういうことはしませんから安心してください」。そう言ってニッコリ笑うのは「整体院 楽寿」の院長である西野英彰さん。南河内郡太子町の閑静な住宅街にある「楽寿」は、一軒家を改装した落ち着いた空間の中で「安心して施術が受けられる」と評判を呼んでいる整体院だ。
「お問い合わせをいただく際、『痛くないですか?』とか『ポキポキとするんですか?』と聞かれることが少なくありません。整体と聞くと痛い施術をイメージして、不安に思われ るんでしょうね。だからこそ私は、疑問や恐怖感を感じることのない方法、安心して受けられる施術を心掛けています」
ゆっくりと首をひねられているうちに、固まっていた筋肉が少しずつ解きほぐされていくような感覚になった。同様に、肩や腰や脚も重く感じていた部分が不思議と軽くなっていくような気がした。押したり、ひねったり、引っ張ったりするものの、その施術はまったく痛くない。「さて、ちょっと立ってみてくれますか」。西野さんにそう言われて施術代から立ち上がると、「施術前は肩の高さが左右で違っていたのだけど、ほぼ同じ位置になっていますよ」と指摘される。周りにいたスタッフからも「本当だ!」との声が。
「普段の姿勢や歩き方などで、身体を支えている背骨や骨盤には知らず知らずのうちに歪みが生じてしまうものなんです。それを放置しておくと、身体のさまざまな部分に不調が現れることもある。ですから、ここでは整体やカイロプラクティック、筋肉調整療法といった手技療法で、身体の歪みを調整し、正しい位置に戻すことを目指します」
施術前に感じていた身体の重さは幾分か軽くなり、むくみが軽減されて全身がすっきりしたような感覚。この整体院では機器類は使用せず、施術は手技のみで行われる。西野さんの手は、身体の表面を少し触るだけで、筋肉のこわばりや骨格の歪みを感じ取っていくというから驚いてしまう。
「手だけが唯一のセンサーですからね。そのセンサーの感度は、トレーニングを積むことによって培われるものだと思います。例えば、1枚の紙の上に1本の細い糸や髪の毛を置く。その上にまた紙を乗せ、その上から手で撫ぜ、糸や髪の毛がどこにあるのかを手の感触だけで感じ取っていくというトレーニング。それを繰り返しているうちに僕は、髪の上に50枚の紙を乗せても、髪の位置がわかるようになった。そういう訓練を重ねることで、手の感覚を研ぎ澄ませていくんです」
西野さんのもとには、小さな子どもから90代の年配者まで、じつに幅広い世代の人がやってくるという。頭痛や腰痛、身体のだるさ、耳鳴り、椎間板ヘルニア……など、それぞれがさまざまな身体の不調を抱え、相談しにくるのだ。
「そういった不調と身体の歪みは関係していると考え、その歪みを矯正することで身体の不調を改善していくというのが私の考え方。もちろんそれだけでなく、日常生活の中で必要なこと、とくに食生活についてもしっかりアドバイスしていきます。体は自分で治すもの。私ができるのは、あくまでお手伝いなんです。身体の状態を改善していくための、患者さんと私との、いわば共同作業とでも言うのかな」
一番得意とするのは頭蓋骨の矯正だそうだ。重なり合っている骨の位置を調整することで、鼻づまりやくしゃみなどの症状が改善されるという。また、いわゆる小顔効果もあるといい、美容面からも人気の施術だ。
元気を取り戻していく姿を見るのが何よりも嬉しい
もともと身体が弱かったという西野さん。心臓病や結核など、若い頃から大きな病気を経験してきた。そのため、病院や整体院に通うことも多かったという。そして、高校生の時にある整体師と出会ったことで、整体という仕事に興味を持ち始める。
「その先生は、『すべての病気の原因は背骨にある』と考えていらっしゃったんですね。診てもらっているうちに、私の身体の状態も徐々に良くなっていったんです。その先生を尊敬する気持ちから、いつかは私も整体を学びたい、そう考えるようになりました」
そんな思いを持ちつつも、大学卒業後は飛行機の部品検査にかかわる仕事に就く。その仕事にもやりがいを見いだし、一生懸命に働いていたものの、35歳の時に交通事故に遭い、足に怪我を負ってしまう。
「部品を運ぶ業務もあるため、足を痛めてしまうと仕事に支障が出てしまうんです。好きな仕事でしたが、その事故を機に転職を考え始めました。頭に浮かんだのは、昔から関心を持っていた整体やカイロプラクティック。改めて勉強しなおそうかな、と」
それから猛勉強を始め、いろいろな先生に付いて必要な技術を身につけた。アメリカ・ロサンゼルスの学校に通い、人間の身体の仕組みを学び、専門家の指導も受けた。そして、いよいよ藤井寺で開業。多くの患者さんに向き合う日々が始まる。
「お一人おひとりが少しずつ元気になって、明るい表情を取り戻していくのを見るのが本当に嬉しいんです。気がつけば体調が良くなっていて、私や整体院のことなんてすっかり忘れている、そんなふうになってもらえたら一番なんですよ」
出張施術でも近隣を飛び回る。手技での治療がメインなので、出張カバンはじつに小さい。
「つらそうなかたを、少しでもラクにしてさしあげたい。年齢を重ねていく分、どうしても骨格には歪みが出てきてしまいますが、生活面で気をつけることもアドバイスしながら、一緒に元気を取り戻していくお手伝いができたら……。それが私の根底にある思いです」
施術をしたら終わりではなく、生活習慣の中にある体の不調の原因を探し出して指摘してくれるのはありがたい。
この春、健康面や美容面で少しでも気になっていることがあれば、一度、骨格の歪みをチェックしてもらってはどうだろう。生活面のアドバイスとともに、意識の改革ができるかもしれない。
(松岡理絵)
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