彦ちゃんの河内歴史話井戸 第49話
民間信仰というものが消えるのは「残念」。
先日のある講座でご一緒した若き先生の専門分野が民俗学で、研究テーマのお一つが「残念さん信仰」でした。
幕末維新期には日本中が朝廷側と幕府側とに別れての時代の渦に巻き込まれます。不運にもその最中に倒れていく者(の墓所)に対しての同情や追悼の心が、やがて信仰となります。
天誅(忠)組の中にも「残念さん」と呼ばれた若者が居て、奈良県東吉野村にお墓が在ります。当館では、無念の思いで亡くなられた全参加者を「残念さん」と考えて、館内の一角に拝所・草莽堂(舎)を設けてお祀りしています。
実は当館のリピーターの多くのが、月替わりの展示品の見学より、この草莽堂(舎)での合掌が目的に成っているのです。その事を、この若き先生は「民間信仰の場所」と捉えて、何度も調査に来館され学会での報告に至りました。その後、海外(台湾)での報告会でも紹介されました。
さて、民間信仰というと私は富田林市甲田の「チリンサン」(写真)が頭に浮かびます。全く謎めいたものですから市の文化財課の資料を簡単に纏めますと、『今は河原石が集めてあるだけですが、昔はこのような石を小さな祠(ほこら)の中にたくさん納めて祭っていた。小さな家は、かつて石を納めていた祠を表している。また、この坂は「チリンサンの坂」と呼ばれていた。坂には神様がいるといわれて、今でも地元には「お葬式の際には決して通ってはいけない」というしきたりが残っています。「チリンサン」という名前の由来については分かっていない。このように小さな丸い石を祠に納めて祭られているものは、市内では佐備神社と板茂神社で見つけることができる。こちらでは「塞の神さん」と呼ばれており、子どもを守ってくれる神様。』となります。
そこで今月の「彦ちゃんの南河内文化遺産」は、地元の人たちに親しまれ、大切に守られている民間信仰の場です。
天誅(忠)組記念館
☎090-5010-3995(予約優先)
藤井寺市小山5-8-33 テックハイム小山1階
10:00~12:00、13:00~16:00
水曜休/賽銭・カンパ方式