彦ちゃんの河内歴史話井戸 第52話
新年に向けての連載への信念。
この一年はシリーズで、愛すべき南河内に残したいモノ、伝承、石碑などを誠に勝手な視点で取り上げてきました。有難いことに「毎号、切り取って残していますよ」という方に出会えて驚きました。
また、半年ほど前に連絡のあった方が初来館されましたが、なんでも北海道に転勤中で、地元に戻ってもなかなか時間が無くて、「やっと館に来れた」との事でした。
私も脱サラして十年。古墳や楠公さんと天誅(忠)組をセットにしたウォーキングガイドや講座を担当させていただいておりますが、マニアックというのか御熱心な方々のご注文では、十津川や龍神方面まで同行しています。
実は、天誅(忠)組に参加した方々は、奈良県をグル〜っと回る形で敗走しています。特に河内からの参加者は3つのグループに分かれるという悲惨な道になりました。
中でも龍神方面に向かった一団は、追手からの攻撃で仲間とはぐれたり傷を負うなど過酷でした。ただ「ここで死んではいけない。この行動を広く皆に知って貰いたい」という水郡善之祐の判断で投降に至りました。
この時は運よく投降先の隊長や地元農夫の好意的な対応(傷の手当など)で、水郡(にごり)は感謝の和歌を柱に書き残しています。「鬼神も恐れざりしがまことある人のなさけに袖ぬらすらむ」。収容された倉は「天誅倉」(写真)として田辺市龍神に在ります。
こうして遠く離れた地にも河内人の歴史が残されているのですね。高野山や龍神温泉に行かれる機会が有りましたら、是非訪ねていただきたいと思います。
来年もコロナから完全に解消される事は無いと感じますが、この経験は先の和歌にあった「人のなさけ(助け合い)」の重要性とも重なると思います。これで「南河内文化遺産」編は一応終えます。「らくうぇる。」ファンの皆様、良い新年を。
天誅(忠)組記念館
☎090-5010-3995(予約優先)
藤井寺市小山5-8-33 テックハイム小山1階
10:00~12:00、13:00~16:00
水曜休/賽銭・カンパ方式