

大阪府の東南部に位置する、南河内郡太子町。万葉の時代から「ふたかみやま」と呼ばれ親しまれてきた二上山の西麓に広がる、緑豊かな町だ。その太子町の魅力や、現在さまざまな形で進められているまちづくり等について、浅野克己太子町長にお話を伺った。
「ずっと住んでいると気づきにくいのですが、町外から来られた方は、緑も空気も水もきれいだと言ってくださいますね」
山々が近く、ブドウやミカンの畑も広がる。四季折々の自然を身近に感じられるその恵まれた環境が子育て世代を呼び込んでいるためか、住民に占める子どもの割合が大阪府内でも最上位なのだそうだ。
また、府内でも有数の歴史遺産を有する町でもある。推古天皇陵や用明天皇、敏達天皇陵といった数々の古墳が点在する「王陵の谷」と呼ばれる古墳群は圧巻だ。聖徳太子や小野妹子のものとされる墓もあり、歴史好きな人々の心を揺さぶる史跡・名所がそこかしこに見られる。
「この豊かな歴史資源もわが町が誇る素晴らしい財産ですね。太子町には『太子街人の会』という組織があり、地域の方々がボランティアで観光ガイドをしてくださっています。日本最古の官道といわれる竹内街道も町内を通っていて、ハイキングをされる方も多いですね。歴史の息吹を存分に感じていただけるのではないでしょうか」
町民が積極的にまちづくりに参加しているのも、この町の特徴だと浅野町長は語る。元旦の二上山初登り、春の太子聖燈会、秋の竹内街道灯路祭りほか、町のさまざまなイベントに積極的にかかわり、盛り上げてくれているのだという。
「住民主体の手作りの催しとして、『たいし聖徳市』という青空市が毎月第3日曜日(11月を除く)に太子・和みの広場で開かれています。飲食や特産品のブースなど、約30のお店が立ち並び、地域の方々の交流の場、そして対外的な情報発信の場にもなっているんです。ここでもボランティアの方々が多数活躍されているんですよ」
地元の商工会や婦人会などが中心となり、町の名物・名産品の開発にも取り組んでいる。昔ながらの風味でつくりあげた「はっ太子(たいこ)飴」や、「竹内街道味噌」「たいし聖徳赤味噌」といった太子町ならではの商品が、聖徳市や道の駅「近つ飛鳥の里・太子」などで販売されている。
「このように、地域の皆様のご協力がまちの元気を生み出す原動力になっています。地域の方々と一緒に進める取り組みを、これからも続けていきたいと思っております」
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この太子町のマスコットキャラクターとして新たにお目見えしたのが、聖徳太子をモチーフにした「たいしくん」だ。ヒゲのない、子ども時代の聖徳太子をイメージした、とっても愛らしいキャラクター。イラストでは昨秋にすでに公開されていたものの、立体となった「たいしくん」は、今年の成人式が初お披露目。新成人たちは嬉しそうにその姿を写真に収めていたそうだ。
この「たいしくん」誕生のストーリーには、驚くようなエピソードがある。「たいしくん」は、プロのイラストレーターに依頼して描いてもらったのではなく、広く全国に公募されたもの。北海道から九州まで各地から多くのイラストが集まり、その数なんと622通。じつはこの622という数字は、偶然にも聖徳太子の没年とされる622年と同じ。また、審査は終始、作者の名前や出身地は伏せられたまま進められたのだが、最優秀賞に選ばれたのはなんと太子町生まれ太子町在住の大学生、武藤由希さんの作品。これには町長ほか職員もびっくりしたという。
「地元の方の作品だったらいいなという思いはありましたが、審査の過程ではキャラクターの図案以外の一切の情報を排除し、当然ではありますが公正な視点で選考をいたしました。そして、622点から絞りこんだ5点を発表し、最終的には住民の皆さんに投票で選んでいただいたんですよ」
武藤さんは大阪芸術大学キャラクター造形学科に在籍する1回生。自分が描いた作品が選ばれたことを知ったときは「やったー」と大喜びしたという。
「子どもの頃から絵を描くのが好きだったのですが、まさか自分の住む町のキャラクターを描くことになるなんて、驚きと同時にとっても感動しました。私は、歴史ある神社が多くて人々がアットホームな太子町が大好き。たいしくんが、町の人はもちろん他市の人からも愛されるキャラクターになってもらえたら嬉しいです」と笑顔で話してくれた。
「たいしくん」は町の観光大使にも任命され、これから各種イベント等への登場などで見かける機会も増えるはず。すでに他市のイベントからのオファーも届いているという。
「住民同士のつながりがあり、温かい雰囲気に包まれているのが太子町。昔ながらの良さと新たな息吹、そのバランスを考えながら、住民の方々とともにまちづくりを進めていきたいと思っております」と町長も力を込める。
愛らしいキャラクターも誕生し、町おこしのさらなる活性化が期待される太子町。歴史を感じながらのハイキングや聖徳市、ぜひ出かけてみてはいかがだろう。
(聞き手 松岡理絵)